スマートウォッチの「高性能」って、どういう意味?一般の人は知りたがらないCPUやメモリの話
スマートウォッチには、スマートフォンと同じように内部にコンピューターが組み込まれています。
そのコンピューターを使って、スマートフォンと無線で通信を行ない、電話着信や受信メールをスマートウォッチに通知しています。
心拍数や睡眠状態の測定結果は、スマートウォッチからスマートフォンにデータが送られ、スマートフォン内のアプリでデータを確認する仕組みになっています。
- 高性能スマートウォッチと低性能スマートウォッチの違い
- スマートウォッチの性能は、SoC・CPU・メモリをチェック!
- SoCとは、必要なパーツを一つにまとめた便利セット
- CPU・GPU・メモリーの違いは、カレーに例えるとわかりやすい
- CPUの性能が高いのか?低いのかは?型番だけではわからない
- スマートウォッチのメモリーは「1GB以上」が安全圏
- メモリーとストレージを間違えないで!
- GPUは特に気にする必要なし
- 性能だけでなく、値段とのバランスが一番大事
高性能スマートウォッチと低性能スマートウォッチの違い
「性能が高い」スマートウォッチは、データを測定するアプリの起動が早かったり、メニュー画面の切替がスムーズです。
「性能が低い」スマートウォッチは、アプリの起動に時間が掛かったり、フリーズしたりすることがあります。
では、性能が良いスマートウォッチと性能が低いスマートウォッチの見極めるにはどうすればいいのか?
スマートウォッチの性能は、SoC・CPU・メモリをチェック!
スマートウォッチの性能を知るために確認すべき項目は、以下の3点↓
- SoC(チップセット)、CPU(プロセッサー)
- メモリ(RAM)
- ストレージ(ROM)
例えば、SoC/チップセット/CPU/プロセッサーの項目には、
- Qualcomm SoC Snapdragon Wear 4100
- Qualcomm SoC Snapdragon Wear 3100
- Qualcomm SoC Snapdragon Wear 2100
- Samsung Exynos 9110
- Huawei Hisilicon Kirin A1
のような記載がされています。
※厳密にいえば、SoC・チップセット・CPU(プロセッサー)はそれぞれ違う意味ですが、示す意図はだいたい同じです。
というか、ごちゃまぜになってて混乱してしまいそうですね。
私の知識で、SoC・チップセット・CPU(プロセッサー)の違いについて、ちょっとまとめてみます。
SoCとは、必要なパーツを一つにまとめた便利セット
SoCは、CPU・GPU(グラフィック)・通信モデムなど必要な機能を一つにまとめたチップセット。
このチップセットをスマートウォッチに組み込むことで、一からCPU周りの設計をしなくて済むので、スマートウォッチの内部設計は容易になり、コストダウンにもつながります。
例えば、『Qualcomm SoC Snapdragon Wear 4100』という製品の構成は、以下のようにになっています。
- SoC名(システム・オン・チップ):Snapdragon Wear 4100
- 販売元:Qualcomm
- CPU(プロセッサー):ARM Cortex A53(4コア、最大1.7GHz)
- GPU(グラフィック):Adreno 504
- メモリー
- 通信モデム
文章にしてみると、こんな感じ↓
『Qualcomm』という半導体メーカーから発売されたSoCは『Snapdragon』というブランドの『Wear 4100』というチップセット製品です。
このチップセットの中には、『ARM Cortex A53』というCPU、『Adreno 504』というGPU、メモリー、通信モデムが内蔵されています。
大変ややこしいですね・・・
CPU・GPU・メモリーの違いは、カレーに例えるとわかりやすい
ちなみに、各パーツの説明ですが、カレー作りで例えてみます。
- CPU(プロセッサー)・・・ メイン能力。CPU能力が高いほど、カレーを早いスピードで作ることができます。
- GPU(グラフィック)・・・画像・映像描写能力。GPU性能が高いほど、色どり鮮やかなカレーを早いスピードで作ることができます。
- メモリー・・・ 処理領域。メモリーをたくさん積むほど、広いキッチンで作業できます。CPUのアシスタント的な役割。
CPUの性能が高いのか?低いのかは?型番だけではわからない
ほとんどのCPUの型番には、数字が記載されています。
例えば、
- ARM Cortex A35
- ARM Cortex A53
- ARM Cortex A57
のように、一見この中なら、A57が一番スペックが高そうに見えますが・・・
実はそれぞれ「処理能力が高い」とか「バッテリーをあまり消費しない」など各々の特徴を持っており、型番だけではその能力を測ることはできません。
ただ、CPU型番の数字が大きいほど、最新モデルです。
スマートウォッチの性能や用途によっては、古いCPUを搭載する方が、全体のバランスを見たときに高性能といえる場合もあります。
ちなみにSoCに関しては、数字の大きさが性能の高さを示していることが多いです。
例えば、
- Qualcomm SoC Snapdragon Wear 4100
- Qualcomm SoC Snapdragon Wear 3100
- Qualcomm SoC Snapdragon Wear 2100
での中であれば、Snapdragon Wear 4100が最新モデルで高性能です。
スマートウォッチのメモリーは「1GB以上」が安全圏
一番ややこしいのが、この『メモリー』です。
メモリーは、データを一時的に保存しておく領域です。
HDDやSSDも同じ保存領域ですが、メモリを使うときに比べてデータの読み書きスピードが遅いです。
データの読み書きが早いメモリーの保存領域を使う事で、作業効率をグンとアップすることができます。
スマートウォッチのメモリーは、現在のところ以下の2つが主流となっています↓
- 512MB
- 1GB
パソコンだと、今や8GB以のメモリを積んでても普通な状況ですが、スマートウォッチではパソコンほどの多彩な機能はないので、1GBあれば十分です。
とはいえ、さすがにスマートウォッチといえども、512MB以下のメモリではメニューを切り替えるときなどの動作にモッサリ感がでます。
もし、これからスマートウォッチを買うのであれば、サクサク動く1GB以上のメモリを積んだスマートウォッチを選ぶのがオススメです。
メモリーとストレージを間違えないで!
さて、ここで勘違いしてもらいたくないのが、今、書いているこの内容は『ランダムアクセスメモリ(RAM)』の話だということ。
内蔵ストレージの話とは違います。
スマートウォッチのストレージは「4GB」や「8GB」といった容量が小さめで、パソコンで使用するメモリーの数値と近いために勘違いしやすいです。
しかも、他のサイトや公式サイトのスペック表には、内蔵ストレージのことを内蔵ストレージとは書いておらず、メモリーとか、容量とか、ROMだとか、表記に統一感がありません。
ストレージは、音楽データや測定結果を保存しておく領域。
メモリは、CPUの手助けをするための一時的な領域です。
用途が全く違います。
メモリーよりストレージの値が大きいことは、まずありません。
スペック表を見る時は、必ず「メモリー」と「ストレージ」、両方を確認しましょう。
GPUは特に気にする必要なし
GPUに関しては、特に気にせず問題ありません。
スマートウォッチ程度の規模なら、SoCに元から組み込まれているGPUで十分です。
メモリーに関しては、SoCに元から組み込まれているものだけでは不十分なので、別に追加されています。
性能だけでなく、値段とのバランスが一番大事
なお、CPUやメモリーの数値は、メーカーから公式発表されていない場合も多いです。
また、CPUやメモリーが低いからといって、必ずそのスマートフォンの性能が低い分けではありません。
例えば、自社でOSを開発して、出来る限り低いスペックのCPUで動くようにして、コストを抑えているメーカーもあります。
対して、スマートウォッチ用OS「Wear OS by Google」は高機能がゆえに、CPU・メモリは高性能でなければ、まともに動きません。
※OSとはコンピューターを動かすためのソフトウェア(マイクロソフトのWindowsやアップルのiOSもOS)
もちろん、各メーカー、製品としてきちんと動くものを発売しています。
最新モデルが発売されると、それまでのスマートウォッチが遅く感じたり、OSのアップデートによって、対応しきれなくなる場合がほとんどです。
基本的には、聞いたことのない海外メーカーの安いスマートウォッチを買ったりしなければ、スマートウォッチとしての品質には問題ないものばかりです。