日本のスマートウォッチが電子マネー決済に非対応の理由(Felica・NFC・おサイフケータイ・Google Pay)
現在、電子マネー決済に対応したスマートウォッチの数は非常に少ないです。
その理由としては、日本の電子マネー決済システムに問題があります。
日本独自の決済システムに興味がない海外メーカー
日本の電子マネー決済システムは、「Felica」というソニーが開発した非接触型ICカード方式を利用しています。
非接触型ICカードと書くと難しそうに感じますが、レジに備え付けられたリーダーに向かって、スマホやカードをかざすことで、接触しなくても読み込みできる技術のことです。
この「端末をかざして読み取る方式」は、海外でも利用されているのですが、「Felica」という方式を採用しているのは「日本」のみ。
今、スマートウォッチの多くは、海外メーカーの製品ばかりです。
わざわざ日本の為だけに、日本専用の決済技術「Felica」を本体に搭載するメーカーは少ないのです。
しかも、Felicaはソニーの商標です。
ライセンス関係でも色々と手間も多く、課題が多いのが現状です。
NFCとは?NFC搭載でも電子マネー利用可能なわけではない
最近のスマートウォッチには、「NFCを搭載しているので、電子マネー決済が可能」と書かれている場合があります。
たしかに、NFCという技術をFelicaも使っているのですが、残念ながらNFC搭載だから電子マネー決済ができるわけではありません。
実は、NFCには3つの種類があります。
- TYPE-A
- TYPE-B
- TYPE-F(Felica)
海外では、「NFC Type-A」や「NFC Type-B」が利用されています。
日本で利用されているのは、「NFC Type-F」をベースにした「Felica」です。
つまり、NFCに対応していても、それがNFC Type-AやNFC Type-Bなど、Felicaを搭載していないスマートウォッチでは、かざして決済することはできません。
さらに、NFC搭載スマートウォッチが電子マネーを決済できるかどうか?には、もう一つ大きな問題があります。
それは、決済アプリの問題です。
電子マネー決済アプリが日本では許可されていない
電子マネー決済を利用できるスマートフォンには、必ず端末内で電子マネーを管理するためのアプリが入っています。
例えば、
- 楽天edy
- Suica
- waon
などなど、キリがないくらい数があります。
それらをまとめて管理できるサービスが、
- おサイフケータイ
- Google Pay
- Apple Pay
といったアプリです。
しかし、まとめサービスのさきがけでもある「おサイフケータイ」は、おサイフケータイのアプリ上ではチャージができないなどの不便さもあり、新しいまとめサービス「Google Pay」や「Apple Pay」が登場しました。
中でも「Google Pay」は、Wear OS by Googleを搭載しているスマートウォッチで決済するための必須アプリです。
ところが、 Google Payアプリは、今のところスマートウォッチでの決済を許可していません。
Google Payアプリをインストールする段階までは進めることができますが、実際に使用することはできないのです。
おそらく今後、使用が許可されるとは思いますが、「いつ開放されるのか?」「なぜ、日本だけ止めているのか?」理由は分かっていません。
よって、Wear OS by Googleを搭載しているスマートウォッチは、今のところ電子マネー決済を利用することはできません。
そこで最近では、Googleに頼らず独自のOS・独自のPayアプリを開発して、電子マネー決済をできるスマートウォッチを販売しはじめたメーカーもあります。
すべての電子マネーをサポートしているわけではありませんが、これは非常に大きな進歩です。
ソニーのwanaなら日本の多くの電子マネー決済に対応しているけれど・・・
なお、数少ないスマートウォッチを販売している日本のメーカー「ソニー」のwanaは、Felicaに対応しています。ところが、肝心の決済アプリがAndroidには対応しておらず、Suica以外の電子マネーを利用するには、アップルのiOSを搭載した端末を用いた初期設定が必要というトンデモ仕様。
なぜ、わざわざiOSが必要なのか?
元々、おサイフケータイはAndroid専用のアプリです。
それをiOSでも使えるように開発されたのが「おサイフリンクアプリ」
おサイフケータイに対応していないスマートウォッチも、「おサイフリンクアプリ」を使えば、わざわざスマートウォッチ用のおサイフケータイアプリを開発しないで済むじゃん!
ってことなんでしょうね。
Visaのタッチ決済に将来性あり?
最近、Visaのタッチ決済という決済サービスに対応した店舗も増えてきました。
「Visaタッチ決済」の凄いところは、海外で主流の「NFC Type-A」「NFC Type-B」方式でかざして決済できること。
つまり、「Felica」を搭載していないスマートウォッチでも、電子マネー決済ができるんです。
ところが、これも決済アプリの問題があります。
いくらスマートウォッチの本体側が対応しても、肝心の決済アプリが対応しなければ意味がありません。
ガーミンやFitbitのような独自OS・独自Payアプリを搭載したスマートウォッチは、Visaタッチ決済を利用できますが、Google Payアプリは決済が閉ざされているので、Wear OS by Googleの端末では、Visaタッチ決済を利用することはできません。
スマートウォッチではバーコード決済は非対応
ちなみに、「バーコード決済・QRコード決済はどうなのか?」というと、各コード決済サービスを提供しているアプリが、まだスマートウォッチには対応していません。
スマートウォッチは画面が小さいこともあり、なかなか対応は難しいのかもしれませんが、今後の可能性はゼロではないと思います。